浜セン1周年記念研究会を開催しました!

地域の皆さま、浜センに携わってくださる方々のおかげで、5/27に浜センは開所から1年を迎えました。

2023/5/20に「浜セン1周年記念研究会」が開催されたので、ご報告いたします。

 

センター長の羽藤英二教授(東京大学)、磐城国道事務所の原田洋平所長のお言葉から会がスタートです。

第一部は『「集まり」の再生に向けて』。現在、浪江町では多くの豊かな「集まり」が再生しつつあり、帰還後の人々の日常を支えています。このセッションでは、帰還後の浪江町で再生しつつある多様な「集まり」をテーマに討論がなされました。

まずは1年間地域で活動してきた、羽藤教授・福谷きり(東京大学)・渡邉萌助教(東京大学)から、なみえ創成中学校の中学生との活動、集会所で毎週行われている体操サークルや舞踊の習い事、住民さんと協力して開催した十日市のビーズワークショップなど、様々な形の「集まり」について紹介がなされました。

その後、福谷が弟子入りする三味線杉本会・矢馳まさ子先生にご登壇いただき、インタビューを通じて地域再生の姿を議論しました。相馬野馬追の歴史も関係してか、震災前から浪江町では民謡・民舞が盛んでしたが、震災による離散を契機に、習い手は激減しました。現在多様なメンバーが参加する三味線の「集まり」について、矢馳先生から「伝統は無くならない、いや、無くさせません」という強いお言葉をいただきました。

第二部は『U30都市展示』。お昼休みの時間を使って、第四部の発表に向けたパネルセッションが行われました。来場者の皆さん、興味を持ってパネルと模型を眺めていました。

第三部は『浜通りの都市と交通研究を考える』。研究センターとしての側面も持つ浜センとして、専門的な知見が浜通り地域のまちづくりにどのように貢献しうるかについて考えるセッションです。

白井帆香(東京大学)は「需要が疎な地域のシェアリングマッチング」、林由翔(東京大学)は「高速道路の自動走行マネジメント」と題し、それぞれデマンド交通や広域交通に関連する研究成果を発表し、朝倉康夫教授(東京大学)からは、「共有する交通:魅力と課題」と題し、様々な交通シェアリングの形が紹介されました。

その後の討論には羽藤教授・朝倉教授・原田所長が登壇し、シェアリングによる効率化、長距離シェアリングの可能性、シェアリングにより生まれる「集まり」と拠点の形成といった観点で、具体的な実現に向けて必要な研究・実務上の課題に関して議論がなされました。

第四部は『U30浜通り地域デザイン討論会』。様々な施設設立が予定されている浜通り地域において、三者から地域づくりの提案及び紹介がなされました。

浪江町出身の渡邉魁杜(芝浦工業大学卒業生)による『ガソリンスタンドを交流拠点とした復興まちづくりに関する研究』は、コミュニティアンケートをもとにワークショップをしっかりと生かし、屋根空間を活かしてワークスペースや宿泊機能を付与することで、新町通りのガソリンスタンドを拠点としてまちに面的な交流を生み出すプランです。

卒業制作の模型は丹念に作り込まれていました

長澤快門・加藤小百合・中野渡凌(東京大学)による『疎のまま生きる』という提案では、福谷らの「集まり」の研究成果を下敷きに、請戸川と権現堂城を視点場として、チャレンジショップや標葉郷野馬追を介して請戸川リバーラインを交流の場として甦らせるプランが発表されました。

「自分の頭を覗かれた気分だ」と絶賛する佐藤秀三さん

阿部翔太郎(慶應義塾大学)の『おおくまキウイ再生クラブの活動』では、浪江に居住しながらこどもたちの学童とも連携した活動に関する紹介が行われました。キウイ栽培の農業法人を立ち上げて地域の文化と結びつくアナログの価値を最大化したいとのこと。地元からは復興の基本は農業というコメントを頂きました。

阿部くんは半年間浜センのスタッフとしても働いてくれました

三者の発表を踏まえ、佐藤秀三さん(浪江町民)、芝原貴史氏(リサーチ・アーキテクツ建築設計事務所)、永山悟(東京大学)からの講評では、具体的な設計や運営に関する質疑・議論が活発に行われました。

最後に、住み続けたくなる気持ちを持ってもらうことが一番の復興だと語る地元の佐藤秀三さんからクローバーに水をやり地道に育て続けたスタッフに感謝の言葉が送られました。

右も左もわからなかった私たちは、地域の皆さん、スタッフの皆さん、関係者の皆さんに支えられ、なんとか前に向かって歩を進め、ようやく1周年を迎えました。1週間〜1ヶ月に1回の頻度で浪江町に通っていますが、毎度何かが変わっていて驚かされます。これからも激変していくであろう浪江町で、地域の方が大切にしているものをしっかりと受けとめ、まちづくりに反映していくことが重要だと、改めて感じるイベントとなりました。

皆さん、これからも浜センを、どうぞよろしくお願いいたします。

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